共著のメリット・デメリット

前回の記事では「武藤が共著にする理由」について書きました。

今回はその続きで、共著のメリット・デメリットについてリアルな話をしていこうと思います。

共著のメリット

共著のメリットは何といっても、一人で書くよりもアイデアが浮かぶという点だと思います。これは、前回の記事でも書きましたが、私は人間一人のクリエイティビティには限界があると思っていますが、共著にすることで、自分だけでは思いつかなかったアイデアが出て、結果としてより良い著書になることが多いです。

また、共著者から刺激を受けられるというのもメリットだと思います。一人で執筆をしていると「今日は執筆せずに寝ちゃおう」、「締め切りはまだ先だから大丈夫」と弱い自分に負けて、執筆のペースが乱れてしまうことがあります。ですが、共著者が締め切りに合わせてガンガン原稿を上げてくると、「ヤバい!自分も書かなきゃ!」となり、結果としてチーム全体の執筆スピードが上がります

さらなるメリットとしては、校正作業を複数の目でチェックできるので、より細かいミスに気づきやすいということが挙げられます。また、著者がそれぞれSNSのアカウントを持っている場合はプロモーションの点からも有利なことが多いです。

これらは素晴らしいメリットですが共著にもデメリットがあります。

共著のデメリット

共著のデメリットは「原稿のクオリティの差」「著者同士のトラブル」この2つかなと思います。

まず、原稿のクオリティに関してですが、原稿のクオリティには著者間で必ず差が出ます。それは英語力の差や、経験値の差からくるものだと思いますが、その差を埋める作業が必要になります。

これは事前にどれだけミーティングやコンセプトをチェックしても必ず生まれてしまいます。ちなみにですが、ネイティブのライターと共著をする場合、このクオリティの差は本当に大きいです。

話は逸れますが、大事なことなので書いておきたいです。

ネイティブだからといって、良い英文を書いたり、良い設問が作れたりするわけではありません。国語力の低いネイティブの書く英文は、一貫性が無く、まとまりがない文章になっています(作文が下手ということですね)。設問作成に至っては、正直、大半のネイティブは苦労します(grammar等のネイティブチェックはできますが)。作問の経験が無く、日本の大学入試や英検の設問・選択肢がどのような意図で作られているかも知らないので、とんちんかんな設問+選択肢を作ってきます。ですので、ネイティブと共著の際は、何度も指摘を入れ、ネイティブに英文や設問の作り方を理解してもらう必要があります。

「英文を書く」「設問選択肢を作成する」この2つは特殊技能です。

「ネイティブなんだからさらっと出来るでしょ」みたいな感じで依頼をしてくる方もいるのですが、それは違いますよ。

閑話休題

原稿のクオリティの差についてですが、その差を埋める作業をするのは代表著者の作業です。作業をしながら各著者に細かい指示出しをして、1冊の本にまとまりを出していきます。

原稿のクオリティの差以上に頭を悩ます問題が「著者同士のトラブル」です。その原因はいくつかあるのですが、主に

①原稿が下手

②締め切りに出さない(そもそも書かない)

というのが原因です。

例えば、AさんとBさんがいて、Aさんは初の執筆、Bさんは経験値が高いとします。

Aさんが書いた原稿をチェックしたBさんが「こんな原稿じゃだめ」みたいな感じで頭ごなしに否定をしてしまうと、バトルが始まります

BさんはAさんよりも経験値があり、執筆のポイントをある程度心得ているわけですが、一生懸命原稿を書いたAさんにもプライドがあります。

さらに、英語講師は一家言もっている人が多く、どちらも譲らない感じになります。

てなわけで、バトルです。

上記のようにバトルが起こってしまうと、チームは上手くいきません。

(私も、共著者同士がいがみ合っている状況を何度も見てきましたが、それはもう険悪)

トラブルが起きたときは、私は代表著者なので両者の間に入って仲裁を試みますが、ダメなことが多いです。

上記のような場合は、どちらかの著者が降りるしかないですね。

このような状況を回避するには、やはり執筆経験が無い著者を共著者として迎え入れる場合は、その人を育てるという気持ちが必要だと思います

下手な原稿でも「最初は皆、素人!」という感じでしっかりサポートすることだと思います。

また、チームが円滑に協力できるようにコーディネートしていくのが代表著者の役割だと思います。

原稿のクオリティ以外で揉める原因となるのは「締め切りに間に合わない」ことですね。

例えばAさんは締め切り通りに原稿を上げてくるのにBさんが全然上げてこない。そうなるとBさんへの不満はたまる一方です。Aさんはせっかく頑張ったのに、発刊スケジュールがどんどん遅れてしまうので、Aさんの気分は良くないですよね。

この原因はBさんが執筆を軽く考えていた可能性が高いです

先のコラムでも書いていますが、執筆はきついです。

授業をしながらだとなおさらです。それを想定できないと、原稿が止まってしまうということになります。

というように、共著にはメリットもありますが、デメリットもあります。

私も共著のデメリットには苦しめられてきましたが、それを乗り越えてチームとしての力や結束力が高まってくると、それはそれはとても良い作品を作れるようになります

私の場合はやっと理想的なチームができつつあるという感じです。

さて、4回に渡った執筆についてのコラムですが、今後、執筆をしたいと考えている英語の先生や執筆中の先生に役立てば良いなと思います。

また、私のチームは一緒に執筆をしてくれる先生を随時募集中ですので、「執筆してみたい!」「執筆を通して講師力を上げたい!」という先生からのご連絡お待ちしています。お問い合わせはこちらから

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