前回の記事では「執筆のジレンマ」について書きました。
その中で、現在は単著よりも共著にすることが多いと書きましたが、今回は共著にする理由と、共著のメリット・デメリットについてリアルな話をしていこうと思います。
武藤が共著にする理由
私はこのところ単著だけではなく共著でもたくさん執筆しています。
この記事を書いている時点での共著における最新作は
「キリトリ式でペラっとスタディ! 中学英語の総復習ドリル (ペラスタ)学研プラス」です。
こちらはお陰様で発売から4か月足らずで三刷りになりました
こちらは私を含め4人の著者で書いています。ちなみに、今まで共著で出版した書籍の大半は、まず私にオファーがあり、その後、企画段階で私の方から編集担当に共著を提案し、共著者候補に連絡をするという流れです。
(必ずしもすべての企画を共著にするわけではなく、共著の方が良いと思われるものは共著の提案をさせていただいています)
ここで、「せっかく武藤自身にオファーを貰ったのに、何で共著にするの?」と思われるかもしれませんが、
私が共著にする主な理由は3つで
- ① 若い講師に執筆の機会を与え、育てるため
- ② クリエイティビティが高まるから
- ③ 時間の短縮
です。1つ1つ見ていきましょう。
若い講師に執筆の機会を与え、育てるため
共著にする一番の理由は「若い講師に執筆の機会を与え、育てるため」です。「機会を与え、育てる」というと上から目線な感じになってしまいますが、お陰様で私は現在までに20冊以上執筆に携わっているので、経験値は溜まってきました。
出版業界は、執筆経験がゼロの若手講師にはなかなかチャンスが巡ってこない業界ですが、私から声をかけることで、ポテンシャルを持つ講師を出版社に紹介でき、またその講師も著書を自分の実績として出講先の予備校にアピールできます。
それは結果として英語教育・英語参考書業界の発展につながると思っています。
また、執筆は普段の授業とは異なり、「伝わる書き方」を身に付ける必要があります。
振り返ると自分もそうでしたが、執筆経験が少ない著者は、正直言って下手です。原稿の手直しをしながらイライラすることもよくあります。
でも、「最初はみんな素人!」。少しずつ書き方を覚えていけばよいと思います。その書き方を教えるのが先人の役目かなと。
私は、自分の手の内というか、授業や執筆で気を付けてきたことは全て包み隠さず教えています。なので、共著者の先生方には是非どんどん吸収してほしいと思っています。
手の内を隠すのではなく、それを教えることで、私自身も、彼らに負けないように日々努力をしないといけないなと思いますしね。
ちなみに、その甲斐あってか?
最近はとても良い原稿を上げてくれるようになりました。仕事をしながらレベルアップをする。理想的なサイクルが作れてきたかなと思っています。
クリエイティビティが高まるから
次に②の「クリエイティビティが高まるから」ですが、私は一人の人間のクリエイティビティには限界があると思ってます(偉人・超人は別!)。
三人寄れば文殊の知恵とも言いますが、やはりチームで執筆すると、自分一人では思いつかなかっただろうアイデアが出てくることがあります。それはとても貴重で、著書がより良いものになるだけでなく、自分自身の視野が広がることにもつながります。
時間の短縮
③最後に「時間の短縮」ですが、「共著にすると単著より執筆量が減るので、楽になる」というのは間違いです。そんなに単純ではありません。詳しくは共著のデメリットで述べますが、まだ経験の浅い共著者の原稿を手直しするたびに、原稿が下手で「一人で書いた方が早いじゃん。」と思いますが、それではチームは育ちません。
先にも書きましたが、若い講師に共著の機会を与え、彼らを育てていくことが、英語教育全体にとって大切なことだと信じていますので、経験の浅い著者には丁寧に赤を入れて、どのように書くべきかを説明するようにしています。
これは本当に大変で時間がかかる作業です。ですが、この苦しい時期を乗り越え、共著者が勘所をおさえ、能力が高まってくると執筆は加速します。一人で書くのとは比べ物にならないくらいに。
私が結成している「英語問題作成所」というチームは今やこの段階に差し掛かってきたので強いですよ。
共著者の先生方の成長は目を見張るものがありますし、お互いに刺激し合い非常に良いチームになっています。
今回の記事で、共著のメリット・デメリットについても書こうと思っていたのですが、今回は長くなってしまったので、メリット・デメリットについては次の記事で書くこととします。
生々しいリアルな話を書いていこうと思います。