緻密な逆算と音読を軸にした英語の授業:東京都立豊多摩高等学校、亀田先生と長谷川先生の実践 Part1

東京都立豊多摩高等学校
亀田先生・長谷川先生

Points!

・音読を大切にした授業
・授業の最終目標を決め、それに向けて逆算しながらカリキュラムを設計
・生徒同士のペアワークやメモ取りを通じて、生徒の自主性を育てることを重視
・要約や録音提出を通じて、生徒の実践的な英語スキルの向上


インタビュー

さっそくですが、亀田先生の授業はどのようなアプローチですか?

授業では1時間目に通読を行い、通読して全体を捉えてから、各パートに入っていきます。Partごとに英問英答や単語練習を通じて内容理解を深めます。英問英答の形式は、内容一致、記述、口頭など様々です。単語練習は口頭練習で進めていきます。適宜、パワーポイントも使いますね。

ペアワークもされますか?

そうですね。生徒同士ペアを作って、本文の大事な箇所にアンダーラインを引かせたりします。最初は生徒に探させて自分なりの理由を言わせ、その後、自分の根拠を伝えます。それを1年間続けていくと、だんだん思考が一致してきます。

ただ、最初はあまりかみ合わないこともあります。中学校の教科書だったら、英文が短いのでその作業は簡単なのですが、高校の教科書は分量が多いので最初は大変ですね。ですが、その思考を一致させていく作業がとても大切だと考えています。

そして、音読をして、最後に要約をさせて終わりです。

要約は英語で、口頭で行います。最初に通読をして各パートの概要を捉え、2時間目からはPartごとに要点を探させます。概要と要点の組み合わせが要約ですからね。

要約はとても重要ですよね

要約も、パート1が終わってパート2に入ったら、パート1・2の要約という風にどんどん累積させます。パート1・2・3・4と累積させ、最後は録音させてFormsで提出させます。生徒は自分のスマホで録音します。

プロセスがとても明確で、力が付きそうですね。

そのレッスンのゴールから逆算してっていう感じですね。ゴールと過程がしっかりと一致するように意識しています。例えば、要約をゴールとするのであれば、各パートでは要点探しと強弱を意識させた音読たくさんさせます。ゴールがスピーチだったら、少し音読回数を減らして意見構成の練習をさせるという具合です。ゴールに応じて過程で行う内容理解や音読に強弱をつけるイメージです。

*ここからは長谷川先生にも加わっていただきました。

私は必要以上には板書をしないですね。生徒には板書をただ写すのではなく、メモを取れるようになってほしいと思っています。というのも、大学に行ったら、自分でメモを取れるようにならなきゃいけないですしね。ただ、音読はたくさんしますね。

音読について、もう少し詳しく教えてください。

最初、全体を聞かせて、次にフレーズごとに音声に続いて読みます。その時は私も一緒に音声に続いて読みます。その後、今度は私がセンテンスごとに読み上げて、生徒はリピートします。ピリオドで切るから長いのもあるんですけどね。で、最後は音声にかぶせて同じスピードで読みます。オーバーラッピングや、シャドーイングを行うこともあります。なので、3回一気に読むんですよ。もちろん、音読するときは意味を確認しながら。

読んでいくうちに気づくことってありますよね。

本当。そこに気づく子が出てくればいいんですけど、音読は1時間の授業の中しっかり入れられる時と入れられない時がありますからね。

3回が限界ですよね。3、4回かな。

本当は4、5回やった方が絶対良いんですけどね。

そうですよね。やりたいんですけど、時間的にきつくて、なかなかできない

嫌ってほど読ませて、もういいよっていうぐらいね。そうすると、英語が体に染みつきますよね。無意識に入っていくじゃないですか。それが本当に大事ですよね。

ありがとうございます。ここで第1部は終了として、後半は亀田先生、長谷川先生が英語教師を志したきっかけ、将来、英語講師を目指す人へのメッセージにつても伺っていきます。

東京都立豊多摩高等学校で導入していただいているICTツール音読メーターはこちら

英語教師としてのやりがいと挑戦

英語教師としてのやりがいや、挑戦について教えてください。

英語教育におけるやりがいは、やはり生徒たちの成長を間近で感じられることです。しかし、教える側としては常に自己研鑽が求められます。自分自身も短期留学を数回経験し、現地での生活を通じて多くのことを学びました。教師として、その経験を生徒に伝えることで、より実践的な英語力を身につけてもらいたいと考えています。

私は、生徒たちが英語を通じて自分の意見を表現できるようになることに大きなやりがいを感じます。一方で、情報過多の現代において、生徒が自ら必要な情報を取捨選択する力を育むことは大きな挑戦です。それでも、彼らが少しずつ自立して学ぶ姿勢を身につけていくのを見ると、大きな喜びを感じます。

将来の英語教師へのメッセージ

英語教師を目指す方には、ぜひ留学などの経験を通じて、本物の英語を体感してほしいです。教員としての道を歩む中で、そうした経験は非常に貴重であり、生徒たちにも大きな影響を与えると思います。

英語教育には多くの挑戦が伴いますが、生徒とともに学び成長する喜びは大きいです。自分自身も常に学び続ける姿勢を持ち、教えることの楽しさを感じながら取り組んでほしいと思います。

まとめ

このインタビューを通じて、亀田先生と長谷川先生がそれぞれの指導法や教育への情熱を語ってくださいました。生徒たちの自主的な学びを促すための工夫や、英語教育の現場で直面する課題についての洞察が得られました。また、未来の英語教師へのメッセージからは、英語教育に対する深い愛情と情熱が感じられました。

後編の記事はこちら

武藤一也が開発している「音読メーター」の活用術についてのインタビューはこちら

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